ショートコラムの憂鬱 2020 part 5  子供たちへの物語り a story for all its children
哲学は思弁の歴史である。斯くも鮮やかな堕落。歴史は恥辱に塗(マミ)れ、後退(ズサ)りできず、前進あるのみ。何時しか、事象の細分化の迷宮へと入り込み、その意味付けの言葉の発見にばかり夢中になり、総体としての全体構造を見失ってしまったところで、脳解析による科学的データが提示され、哲学の子供じみた幻想...
マートレーヤ 2章 ジョセフと子供たち Joseph and children, and Mary
ジョセフは、子供たちと身を寄せ合って、暮らしている。夕暮れの、記憶の階層の中を、その女は、微笑みを湛(タタ)えて、足取りも軽やかにやって来る。心地良い疲れが一日の終わりを告げ、安らぎと寛(クツロ)ぎが約束された憩いの時を想いながら、ジョセフは、ドアが開くのを、心待ちに、じっと待っている。何もかも...
楽園の破綻 the collapse of paradise その12
6月2日、日銀と金融庁共同のCLOに関する合同調査の報告書が公表された。それによれば、日本の金融機関が保有するCLOは、3月31日の時点で、邦銀主要5行だけで、13兆6,000億円、ゆうちょ銀行、農林中央金庫、地銀、その他も合わせると、国際市場に流通する取引額の20%を占める規模となる。3月のパンデミック第一波による...
楽園の破綻 the collapse of paradise その11
国際物流の停滞が、今、ようやく始まった経済復旧に影を落としている。パンデミックのため、航空機の乗り入れ制限や船舶の入港制限が常態化していたが、6月から、状況に応じて緩和する措置が取られるようになってきた。しかし、物流の輸送コストは高止まりしたままである。これが、輸入産品に跳ね返り、日用品の小売価格...
楽園の破綻 the collapse of paradise その10
6月5日、5月の失業率が前月比-1.4%の13.3%に留(トド)まったと発表されるや、雇用情勢に回復の兆しがある、との、先走った報道が先行し、マーケットに、楽観ムードが広がったが、その理由の大部分が、あのPPP(給与保護プログラム)の一時的な先延ばし効果による瞞(マヤカ)しであることが明らかになると、先行きの...
マートレーヤの見た夢。 Maitraya’s dream.
認識のセンチメンタリズム。 古今東西、認識論は、自我と五感に纏(マツ)わる話から出発し、霊感や無意識の話で終わるケースが多い。これは、結局、脳の構造上の機能分化と相互作用に関する知識が全くないまま、自己完結的思考によって、かなり、強引に結論付けているためであるばかりでなく、当時の文化的・歴史的...
幸運の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その8
宙空の魔術師 Magician on the Air 序章 魔術師の独白 prologue his confession ニムロデNimrod(反逆する者)を疎(ウト)んじて、塔を破壊し、言葉を乱した神は、果たして、気高く、誇り高い、御座に座るべき存在なのだろうか?ニムロデNimrodは、闘いを挑んだ由(ワケ)ではない。権力の簒奪者(サンダツシ...
マルクスとエンゲルス(1) 運命の二人 最初の出会い;近代ドイツ 7
カール・マルクス(Karl Marx 1818.5.5.-1883.3.14.)は、由緒あるユダヤ教のラビ(導師)の家系の出である実直な弁護士ハインリヒと、同じユダヤ教徒でオランダ出身のヘンリエッタを両親に、プロイセン王国のライン地方の町トリーアに、その次男として誕生した。トリーアは、中世以降、トリーア大司教領の都として栄え...
“神々”の系譜 その3
1964年、電子音楽の歴史に、画期的な変革をもたらす最終的な楽器、シンセサイザーsynthesizerの元祖、モーグ・シンセサイザー moog synthesizer(アナログ・シンセサイザーanalog synthesizer)が出現した。1950年代、テルミンのモジュールmodule製作で聞こえた電子楽器の発明・製作者、ロバート・モーグ(Robert Moog 1...
虚ろなる涙 その3
2020.06.13
淋しいおさかな。オモイデはシトシトにじむ。 かつて、彼は、批判的に社会を見る眼識を持ちながらも、騒然混沌の中に浮遊する疎外と断絶の時代にあって、人には親切で温かい心を持ち、又、労(イタワ)り、思いやりのある自分は表に出さず、慎み深く、あくまでも、謙虚な姿勢で創作に励んだ、一風変わった不思議な演...
MENU

TOP
HOME