ショートコラムの憂鬱 2022 part 2
ショートコラムの憂鬱 2022 part 2
幻覚の数理学。
牧島象二(1907.5.25.-2000.4.30.)は数理学の権威である。氏は,「青年には若さと夢が,老年には哲学と深い洞察がある。もしこの両者を結びつけ得たらどうなるだろうか。」と疑義を呈した。氏はさらに,パターンダイナミクスなる新理論に傾倒し,その中の重要定理...
ヤスパース 限界状況 ;近代ドイツ 16
ヤスパース 限界状況;近代ドイツ 16
カール・ヤスパース(Karl Theodor Jaspers 1883.2.23.-1969.2.26.)は,ニーダーザクセン州オルデンブルクに生まれた。父は銀行勤めとも,法曹界の出身とも言われる。ヤスパースは,早くから,哲学に目覚め,古典語ギムナジウムから1901年ハイデルベルク大学に入学,次いでミ...
Melponemeの渇き 序章
Melponemeの渇き 序章
(Melponeme(メルポネーメ)とは,悲劇の女神,のことである。)
少なくとも,20世紀半ば位まで,人々は,放浪する魂という,因循な世界観に縛られてきた。それは閉じられた円環で繰り返される循環運命論である。人間は時空を超え,過去にも未来にも魂となって生き続けるというその思想...
幸福の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
幸運の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
花かおり 月霞む夜の手枕に 短き夢ぞ なほ別れ行く (玉葉和歌集)
舞台には幕が降りつつある。春の夜のひととき,うとうとと,為相(冷泉為相 1263-1328.8.22.)は,別れの切なさや遣る瀬無さを振り返り,その邂逅の縁(エニシ)の不思議に想いを馳...
ニーチェ 神は死んだ(2);近代ドイツ 15
ニーチェ 神は死んだ(2);近代ドイツ 15
1881年,ニーチェが,アルプス山中を散歩している最中に啓示の如く閃(ヒラメ)いたのが永劫回帰という概念であったが,1883年,その思想の延長線上に浮上したのが,超人という人をも神をも時間をも超越した存在である。その人格の物語が,「ツァラトゥストラはかく語った...
ニーチェ 神は死んだ(1);近代ドイツ 14
ニーチェ 神は死んだ(1);近代ドイツ 14
ニーチェ(Friedrich Wilhelm Niezsche 1844.10.15.-1900.8.25.)はプロイセン王国ザクセンのリッツェン近郊にプロテスタントの牧師を父として生まれたが,その父を5歳の時に失い,母と妹エリザベート共にザーレ湖畔のナウムブルクに移った。プォルタ校の人文主義教育は彼...
500マイル 第7章
500マイル 第7章 吊るされた男 the hanged man
耗弱する電脳 abraded cyber
1949年7月21日,ルードヴィヒ(Ludwig Wittgenstein 1889.4.26.-1951.4.29.)を乗せたクィーンメリーは,一路,ダブリンからニューヨークを目指して出港した。自他共に許す親友ノーマン・マルコム(Norman Malcolm 1911.6.11.-1990...
漂流点描 その4
漂流点描 その4
ヒトの社会は仮面の社会であり,仮想と現実が混在する社会である。ヒトは、“化(カ)”する。つまり,化けるのである。それは,自分以外の何者か,に化け,自ら仮想した人格に変容し,自分自身を隠蔽し,一人の傀儡(クグツ)師となって,仮面を付けた自分に掏(ス)り返て,自ら虚像になり切る。何...
漂流点描 その3
漂流点描 drifting pointillism その3
観想theoriaとは,自分自身と世界(自然)との合体一致を可能にするための行かもしれない。それは諸々の欲求を減殺し,思考を停止し,覚醒した自己となり,自律した個として世界の,風景の中に溶け込み,静穏を得るための行であるのかもしれない。しかし,それは禅や瞑想で得...
500マイル 第4章 内在との出会い
500マイル 第4章 内在との出会い encounter to the immanence
遠い旅路の果て,未知なる道が開かれ,向こう側への旅が始まる。
世界は既に溶融し始めている。それは,幻視(原子・原始)から始まり,幻視へと回帰する奇妙なクロニクル(年代記)の1ページ。惑星の1ページである。
「邪悪な者たちが地球を...