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要するに、これだけの、ハイリスク・ハイリターンの商品を取り扱わないと、十分な利益を確保できないほど、収支が悪化しているというのが、現在の日本の金融機関の実体らしい。そして、又、こういう債券取引が日常の風景として定着していることを考えると、万一、ジャンク債市場が急変した場合など、悪い意味での運命共同体意識の赴くまま、後戻りできない混迷の道を突き進んでいくしかないのだろう。そんな悪い予感を心の奥に封印したまま、売り買いに明け暮れる日々を送っているのではないだろうか?さて、合同調査の結果では、当たり前のことであるが、市場価格が大きく下げれば、減損損失のリスクがある、との指摘である。金融庁が、万一の場合、一般消費者の保護を念頭に置いているとすれば、各金融機関にCLOを組み込んだ金融商品、投資信託等の商品名を公開させ、注意喚起することがあっても良いのでは?
企業は、無責任な社債の発行を続け、調達した資金で自社株を買い、株価を吊り上げ、それでまた社債を発行する。この無間(無限)地獄の絡繰(カラク)りを金融当局が低金利・金融緩和で支え、より高い利回りを追い求め続ける投資家と協働(共同)して、金融危機後の12年に及ぶ空前の好景気を現出してきたのだ。この構図をけん引してきたのが、ITという、新産業セクターである。今、これは、5Gという、一つの頂点を迎えようとしている。しかし、ここにきて、思わぬ事態が発生した。コロナ・クライシスである。収束(終息)の見込みは全く立たず、剰(アマツサ)え、リセッションの引き金まで引いてしまった。マーケットは一見、盛況のように見え、変化は伺い知れなかったが、天動地変の兆候は始まっている。
現在、マーケットは、二つの潮流が激しく鬩(セメ)ぎ合う熾烈(シレツ)な角逐(カクチク)の場となっているが、その決着は、間もなく、着く。これまで、マーケットは、期待され、夢と希望にあふれたグローイング・ウェーヴの圧倒的な買いの勢いによって、維持されてきた。それが今、地に足のついた、身の丈に合った現実を見つめた、リセッション・ウェーヴの売りの流れが足元から迫ってきている。
社債市場は、実態を無視した膨張市場と化してしまった。このことに規制当局は早くに気づいていながら、何の処置もせず、エコノミストも傍観していた。低金利と金融緩和は、企業に多額の借金を許し、気が付いてみれば、10兆ドル(≒1,100兆円)の記録的な債務が積み上がっており、貸し手は期限通り返済されると期待している。この社債市場の10%強、1兆2,000億ドルを占めるのが、レバレッジド・ローンであり、その貸付債権を束ねて証券化したものが、あのCLOなのである。ここに3月のデータがある。ジャンク債市場でCLOの劣後債は13日間で22%下落した。これより酷(ヒド)い債券商品は無い。最低である。