不思議の国の高度理系人材の不足 2
不思議の国の高度理系人材の不足 2
現在の日本のディジタル化の立ち遅れは,企業が設備投資や研究開発費を出し渋り,国も,殖産興業の精神を忘れ,十分な予算を割(サ)かず,恒常的な頭脳流出と理系教育の質的低下を招いたことも無関係ではなく,国民は国民で,急速な電脳化を好まず,世界的に起きてきたイノベ...
不思議の国の高度理系人材の不足 1
不思議の国の高度理系人材の不足 1
現在の日本の社会にはディジタルの波が押し寄せている。つまり,高度理系人材なる労働者の不足が国際的な経済の遅滞を招いたとの反省から可及的速やかにその解消を図る目的で今,又,国は懲りもせず,主に若者を対象にそのスキルアップを,国を挙げて行おうとしている。しかし...
知らず語りのレトリック。
知らず語りのレトリック。Rhetoric without knowing。
東大紛争と忘却の静寂(シジマ)。
加藤一郎は東大の総長代行に互選されたが,気が重かった。山本義隆は権力と自由という構図の中で抜き差しならない立場に立たされていた。そうして,1969年1月,その日がやってきた。二人はその時,何を想っていただろう?そ...
謎だけを纏った夜
謎だけを纏(マト)った夜。
A night wrapped only in mystery。
世界戦争後の民主日本を支えた思想を「戦後民主主義」と呼ぶ。その原型を平易に一般に伝えたのが,鶴見俊輔ら同人7人によって1946年,第1号が発刊された雑誌「思想の科学」である。その七人とは,鶴見俊輔,鶴見和子,武谷三男,武田清子,都留重...
Melpotemeの渇き 2章
Melpotemeの渇き 2章
独白。monologue。
渇きとは,何時の時代にもある渇望のことである。
20世紀も半ば過ぎ,世界戦争が終結して間もない頃の「100年後の世界」と題する論説を読むと,大学は解体されて既に無く,学歴は各々個人がテレビ電話を使って学習し,定期試験や論文を提出して,テーマごとに国家機...
ヤスパース 限界状況 ;近代ドイツ 16
ヤスパース 限界状況;近代ドイツ 16
カール・ヤスパース(Karl Theodor Jaspers 1883.2.23.-1969.2.26.)は,ニーダーザクセン州オルデンブルクに生まれた。父は銀行勤めとも,法曹界の出身とも言われる。ヤスパースは,早くから,哲学に目覚め,古典語ギムナジウムから1901年ハイデルベルク大学に入学,次いでミ...
Melpotemeの渇き 1章
Melponemeの渇き 1章
ファウスト登場。Faust。正直者の遍歴。Honesty's itinerary。
渇きとは,何時の時代にもある渇望のことである。
ボクたちは,誕生と同時に,知的欲求という余り有り難くも無い,無い物強請(ネダ)りのDNAを宿して生まれ,知への渇望に振り回されて生きてきた。生命の神秘や文明の由縁に...
Melponemeの渇き 序章
Melponemeの渇き 序章
(Melponeme(メルポネーメ)とは,悲劇の女神,のことである。)
少なくとも,20世紀半ば位まで,人々は,放浪する魂という,因循な世界観に縛られてきた。それは閉じられた円環で繰り返される循環運命論である。人間は時空を超え,過去にも未来にも魂となって生き続けるというその思想...
幸福の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
幸運の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
花かおり 月霞む夜の手枕に 短き夢ぞ なほ別れ行く (玉葉和歌集)
舞台には幕が降りつつある。春の夜のひととき,うとうとと,為相(冷泉為相 1263-1328.8.22.)は,別れの切なさや遣る瀬無さを振り返り,その邂逅の縁(エニシ)の不思議に想いを馳...
微睡日記抄 その9
微睡日記抄 その9
虐情の連鎖と涙。戦争を忌む。
戦争について語ることは,もう十分語り尽くしてしまった。限定的な段階であれば,見過ごされると,政治家たちは考えがちだが,これからの地球は、違う。戦争は廃絶されなければならない。暴力ではなく,国際協約に基づく相互間の対話こそがそれに代わるものとして...