楽園の破綻 the collapse of paradise その8
4月9日、FRBは打つべき手を打った。総額2兆3000億ドル(250兆円相当)の資金供給という、無制限のQE(量的緩和)である。事実上、FRBが直接、民間企業に資金供給するという異例の措置で、従業員1万人以下の企業に対し、財務省と特別目的事業体を設立する形で、民間銀行を通して、1年間無利子で、融資枠最大6000億ドルの...
ショートコラムの憂鬱 2020 part 2 
ボクは、現在、「近代ドイツ・シリーズ」という非常に格調の高い、難しい、難解な歴史ものに携わっているのだが、書いていてまとまりがつかなくなるほど、情報量が多いのが難点である。これまで、いろいろな人物を書いてきたが、今回のフォイエルバッハには、ちょっと個人的な興味もあり、ここでも少し触れてみたい。 ...
フォイエルバッハ 迷走する未来と精神の昇華、唯物論の登場;近代ドイツ 6
2020.03.23 AI
ルードヴィヒ・フォイエルバッハ(Ludwig Andreas Feuerbach 1804.7.28.-1872.9.13.)はバイエルンのランツフートに、高名な刑法学者ポール・アンセルムの四男として誕生した。一家は、著名な知識人・学者・画家といった人々であった。考古学者の長兄ヨーゼフ・アンセルム、数学者の次兄カール・ヴィルヘルム、法学者の...
楽園の破綻 the collapse of paradise その7
この一週間のコロナショックへの金融当局の対応は、何もしないよりはマシ、といった程度の内容で、完全に後手に回り、タイミング的にも遅きに失した感があることは否めない。問題は、今年の世界経済に与える実質的な、あるいは、実体経済へのダメージが予想の範囲を超えていることが明らかに成りつつあることと、常態へ...
ハプスブルク帝国の衰微とプロイセンによる関税同盟の進展;近代ドイツ 5
1821年、メッテルニヒはオーストリア宰相となり、ハプスブルクは、オーストリア、ハンガリー、ボヘミア、プロイセンを除くドイツ、北イタリアの中南欧のほぼ60%を占める一大帝国に成長した。メッテルニヒの面目躍如である。しかし、ウィーン体制は思わぬところからひびが入った。スペイン領アメリカである。ブルボン家の...
ルチア、その伝承と構図、あるいは、神の摂理
聖ルチアは、3世紀ごろ、ローマ帝国時代にシシリー島、シラクサに生きた女性である。当時、国禁の宗教であったキリスト教を信仰していたルチアは、異教徒に求婚され、その欲情を誘った自分の眼を疎(ウト)み、自らそれを抉(エグ)り出して皿に乗せ、求婚者に贈った、という。この話自体が、真偽のほどが定かでないの...
ポーランドの国難と聖母
ポーランド南部の町チェストホヴァは、1381年、聖母が出現した、と言われる町である。この町の“光の山”の頂にあるヤスナ・ゴラ修道院のパトロンヌ(守護聖女)は勿論、聖母マリアであり、ビエルジュ・ノアール(黒衣の聖母)像が安置されている。1978年10月22日、日曜日、就任のミサを終えた教皇ヨハネパウロ2世は、当時...
全能の神の眼 The Eyes of Providence
1ドル紙幣の裏面にあるピラミッドの目。ただならぬ気配を漂わせた図案である。これは、俗に、プロヴィデンスの目、と呼ばれる意匠で、中世以来、主に、エジプシャン・マジックという一種の呪術の世界で使われてきた図案である。1ドル紙幣に採用されたのは、1935年で、比較的新しいが、その基になっているのは、1776年...
土星の六角形Saturn’s hexagon
土星の六角形(Saturn’s hexagon)が発見されたのは、1981年のボイジャー計画によってであった。土星の六角形とは、土星の北極付近、北緯約78度に位置する持続的な六角形の雲の模様である。2006年からのカッシーニ計画で判明しているデータは以下の通り。 六角形の一辺の長さは約14,500kmで地球の直径12,700kmよりも...
“神々”の系譜 その2
1960年代のmusic sceneは、pop musicとRock and Rollの流行と電気楽器の浸透、そして、jazz liveの退潮とが、同時並行的に進行したことが一つの特徴として挙げられる。殊に、jazz退潮の大きな理由には、underground sceneでのR&B、blues rockの比較的広範囲な進展と、公民権運動の結果、gospelやfolkへ黒人の関心が分散...
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