謎だけを纏った夜
謎だけを纏(マト)った夜。
A night wrapped only in mystery。
世界戦争後の民主日本を支えた思想を「戦後民主主義」と呼ぶ。その原型を平易に一般に伝えたのが,鶴見俊輔ら同人7人によって1946年,第1号が発刊された雑誌「思想の科学」である。その七人とは,鶴見俊輔,鶴見和子,武谷三男,武田清子,都留重...
500マイル 第7章
500マイル 第7章 吊るされた男 the hanged man
耗弱する電脳 abraded cyber
1949年7月21日,ルードヴィヒ(Ludwig Wittgenstein 1889.4.26.-1951.4.29.)を乗せたクィーンメリーは,一路,ダブリンからニューヨークを目指して出港した。自他共に許す親友ノーマン・マルコム(Norman Malcolm 1911.6.11.-1990...
500マイル 第6章 愚者の功罪
500マイル 第6章 愚者の功罪 Fool’s merits and demerits
現在形という未来 the future of the present form
「私たちの越える丘(The Hill We Climb)」アマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman 1998.3.7.)
「私たちが分断を終わらせ,未来を手にできるか,どうか,は,私たち自身が,今,抱(カカ)える相...
500マイル 第4章 内在との出会い
500マイル 第4章 内在との出会い encounter to the immanence
遠い旅路の果て,未知なる道が開かれ,向こう側への旅が始まる。
世界は既に溶融し始めている。それは,幻視(原子・原始)から始まり,幻視へと回帰する奇妙なクロニクル(年代記)の1ページ。惑星の1ページである。
「邪悪な者たちが地球を...
500マイル 第3章 無知なるものの縁(ヨスガ)
500マイル 第3章 無知なる者の縁(ヨスガ) regression line of the ignorant
未知(道)なるものを道(未知)とし,道(倫・理)ならぬものを非理(非道)として,時空を超越する行(ギョウ)にこそ,彼我に辿り着く未知(道)が在る。
「人の心に生まれながらの善悪というものがあるとは思えない。又,...
ショーペンハウアー 東洋思想の流入;近代ドイツ 10
ショーペンハウアー 東洋思潮の流入と古典主義;近代ドイツ 10
アルトゥール・ショーペンハウアー(Arthur Shopenhauer 1788.2.22.-1860.9.21.)は裕福な商人ハインリヒと名門トロジーネル家出身の女流小説家ヨハンナとの長男としてダンツィヒ(現グダニスク)に生まれた。父ハインリヒは,国民主義自由主義運動に...
知略と交渉,フリードリヒ2世(1);ドイツ 6
知略と交渉、フリードリヒ2世(1) ;ドイツ 6
父の遺領を受け継いだハインリヒ6世(1165.11.-1197.9.28.;在位1191-1197;シチリア王1194-1197)ではあったが、その一生の大半はイタリア経営と諸都市の反乱の制圧に忙殺される羽目になり、ドイツにおいては、皇帝不在という一種の政治的弛緩状態にあって、ヴ...
知略と交渉,フリードリヒ2世(2);ドイツ 7
知略と交渉、フリードリヒ2世(2);ドイツ 7
1209年,成年を迎えたフリードリヒは10歳年上のアラゴン王国の王女コンスタンツァと婚約し,正式にシチリア王位に就く意志を表明した。コンスタンツァは彼にプロヴァンス語と洗練された潤いのある宮廷生活を齎(モタラ)した。一方,インノケンティウス3世は,フリ...
知略と交渉,フリードリヒ2世(3);ドイツ 8
知略と交渉、フリードリヒ2世(3);ドイツ 8
フリードリヒの遠征中,グレゴリウス9世は北イタリア諸都市を唆(ソソノカ)して南イタリアを攻撃した。皇帝は帰国すると都市を占拠していた教皇派の軍隊を撃退し,教皇を威嚇して,和議に持ち込むことに成功した。1230年,チュートン騎士団と皇帝側の譲歩で,サン...
マルクスとエンゲルス(3)革命の失敗とイギリスでの余生;近代ドイツ 9
マルクスとエンゲルス(3) 革命の失敗とイギリスでの余生;近代ドイツ 9
1844年、エンゲルスは、帰国の途上,パリで,マルクスと再会し,互いに同志として打ち解け合う仲となった。二人は生涯の友情を誓い,以後,衝突すること無く,困難に会えば支え合い,難局に際しては励まし合って,共に旧態然たる諸勢力と...