日本人の特質。また、忘却の構造とわび・さび。
忘却と浄化の相関について。 わび・さびは、カタルシスとその余韻とを生み出す源泉であると同時に、その結果でもある。アリストテレス(Aristoteles B.C.384.6.19.-B.C.322.3.7.)が、その演劇論で述べたカタルシスkatharsis、すなわち、精神の浄化は、悲劇が観客にもたらす怖れ(pobos)と憐れみ(eleos)によって呼び起...
two Charlies in truth and conscience prologue
2019.11.13
 チャーリーとは?  20世紀の前半に活躍した二人のチャーリー。一人は名優と呼ばれ、反ヒトラーの側に立ち、一人は英雄と呼ばれ、ヒトラーの側に立つ。(それは、世代的な落差なのだろうか?)名優はthe little trampというキャラクターを演じて笑いをとり、大スターの地位をほしいままにし、英雄はthe spirit of St....
two Charlies in truth and conscience chapter 3
2019.11.12
 harbinger of disaster  名優の快進撃は続く。1925年の「黄金狂時代」の大ヒットに続き、1928年の「サーカス」ではアカデミー賞特別賞を受賞、いよいよ、後に無声映画の最高峰と評されることになる「街の灯」の製作に取り掛かる。その頃、若き英雄は恋愛の只中にあった。1927年12月、メキシコ駐在のアメリカ大使に招...
two Charlies in truth and conscience chapter 2
2019.11.11
 free as a bird, Lindy  少年は空を見ている。遠く、心地よい機械音が鳴っている空を見上げて。いつか、自分も、あの空の中を思いっきり飛び回り、自由を満喫するのだ、と。一人ぼっちの、一人よがり、なのかもしれないが、少年の夢は広がっていく。1917年、もう一人のチャーリーは15歳の少年だった。母の影響か、機...
two Charlies in truth and conscience chapter 1
2019.11.11
 spring has come, and good luck too  それは1913年、チャーリー24歳の年、二度目のアメリカ興行の時である。当時まだ新興産業だった映画のプロデューサー、マック・セネットはこの若いイギリスのコメディアン(?)に興味を持った。プロデューサーの仲立ちで、チャーリーは週給150ドルでキーストン社と契約、映画俳...
[ショートコラムの憂鬱 2019 part 3]
 今年も正味1か月である。これから何かを始めるという人も稀だろう。今年は良かったとか、悪かったとか、言う前に、今年は何だったんだろうという、そこはかとなく、空しい気持ちが立ち上がる。起承転結でいえば、結、であって欲しかったが、来年も、転、ということになりそうだ。(一体、いつ終わるのかね。)  ボ...
日本人の特質。あるいは、忘却の構造とわび・さび。
 日本人の伝統的価値観の一つである、わび・さびが確立されたのは、応仁の乱前後の室町時代と言われている。係る戦乱の世に、斯様(カヨウ)な静・動、併(アワ)せ持ち、相変化して自ずから死を滅す、即ち、現実を超越した“安心”の極致に到達する、というこの思想の根底には何があるのか、考えてみたい。(これは、ド...
楽園の破綻 the collapse of paradise その4
 国内株式は、目下、上昇トレンドにあり、少なからず、来年への期待から、大幅に持ち直してはいるが、それでも前年の域に達するほどではなく、ようやく年初来高値という水準である。外国人ヘッジファンドなどは、来年のオリンピックまでは、景気後退の心配は少ないと判断していることもあり、又は、日銀の追加緩和の可...
ヘーゲル、弁証法による世界観の成立、もしくは、神との葛藤;近代ドイツ 4
ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel 1770.8.27.-1831.11.14.)は、シュトットガルトのプロテスタント(父は中級官吏)の家に生まれ、幼児期よりラテン語の手ほどきを受けて、知識欲も旺盛な子供であったが、13歳の時、母親が死去し、人間の運命について考えるようになった。1788年、18歳になると、チュービンゲン...
メッテルニヒのドイツ、あるいは、ドイツ精神の形成;近代ドイツ 3
1814年9月1日、オーストリア帝国(ハプスブルク帝国)の外相クレメンス・フォン・メッテルニヒ(Klemens von Metternich-Winneburg zu Beilstein 1773.5.15.-1859.6.11.)の画策により、全ヨーロッパをフランス革命以前の王権復古体制に帰順させるべく、帝都ウィーンで国際会議が始まった。確かに、これは、秩序の再建と...
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