楽園の破綻 the collapse of paradise その4


 国内株式は、目下、上昇トレンドにあり、少なからず、来年への期待から、大幅に持ち直してはいるが、それでも前年の域に達するほどではなく、ようやく年初来高値という水準である。外国人ヘッジファンドなどは、来年のオリンピックまでは、景気後退の心配は少ないと判断していることもあり、又は、日銀の追加緩和の可能性などを織り込んで、買いを続けているものと思われるが、先ず、米国の再度の利下げが行われるタイミングで、どうなるか、また、通期業績の見通しはどうか、米中の休戦は何時までか、によって、年末の展開は変わってくる。
 ここで、短期の目線から一転して、長期投資の本命といわれる投資信託、ターゲット・デート・ファンド(ターゲット・イヤー・ファンド)について触れておきたい。既に、iDeCoの浸透によって、株式市場のみならず、マーケットには、多額の安定資金が流れ込んできているが、この運用にあたって顧客に適宜、商品を紹介できるほど、金融機関の窓口に対応力はない。米国では、長期投資については、第一に、そのベースとなる確定拠出年金401Kを軸に、このターゲット・デート・ファンドの設定が行われており、その上で収入の上昇や家族構成の変化を予測した短期・中期の投資を付け加えていくというスタイルが定着しつつある。
 ターゲット・デート・ファンドとは、内容的にはバランス型ファンドであり、前期は積極運用(高リスク商品。株式など。)、退職年齢に近づくに連れ、後期は資産保全の安定運用(低リスク商品。債権など。)を行う商品である。大半は有期型であり、公的年金の支給開始までの契約が多いが、一般には退職年齢までとするケースも選択肢の一つであり、また、自己の都合により年数を決めることもできるので、金融機関の試算表とポートフォリオ(投資配分割合)を参考に検討した方がよい。一度決めてしまうと、運用は自動的に行われるので、ポートフォリオの調整を機にかけることもない。(いわゆる、満期・一任勘定取引、という感覚である。)なお、年限が定められているので、例えば、退職、あるいは、指定期日直前の景気拡大局面では、運用資産の増加は限定的である。
 この商品は、もう日本でも販売されているが、若い世代を中心に今後、市場規模が急拡大することが見込まれる。つまり、初心者や未経験者にとって、わかりやすく、手続きも簡単で、購入者が増加すれば、増加するほど、基準価額も上がり、解約率も低いとなれば、運用率は高く、受取資産も期待できるから、である。あとは、金融機関がどれだけ緻密なライフプランを提示できるのか、それだけである。
 なお、十年後、二十年後、三十年後のことである。天変地異、金融恐慌、など、何があるか分からない。非常時の貯えも怠りなく。何につけ、備えあれば患いなし。
2019年10月24日
Posted by kirisawa
MENU

TOP
HOME