それを象徴しているのが、PIPEの取引件数の異常な上昇である。その額は、もう、4月時点で、170億ドル(1兆8000億円)に上り、リーマンの時の年間取引額1200億ドル(13兆円)を、年内に遥かに超える額に達するだろう、と噂(ウワサ)されている。既に、大企業の中でも、デフォルトの悪夢に神経を尖(トガ)らせているところは少なくない。PIPE Private Investments in Public Equitiesとは、投資ファンドによる上場企業の私募増資引受けの事であるが、企業にとって、資金調達が容易である反面、公募価格を著しく下回る水準での株式売却を強いられることもままあり、従って、それは、日常的に行われる取引と言うより、やはり、非常手段であり、背に腹は代えられない決断によって行われるべきものと言う他ない。それだけ、今の米国の上場企業は、債務に汲々としているのである。
これで、米国経済は一息ついたが、今後の見通しは、と言うと、ちっとも、明るくない。4月15日には、アフリカ最貧国(サハラ以南)の債務を、年内、猶予することが、G20のテレビ会議で決まったが、この程度のモラトリアムで、新興国がこのコロナ・クライシスを凌(シノ)げると思ったら、それは思い違いも甚だしい。このような場当たり的な話し合いでは、いくら議論したとしても、埒(ラチ)は開くまい。少なくとも、今後、どういった連携を取って、この地球規模の公衆衛生問題に対処するのか、その課題の持続的な検討と、それぞれの役割分担と資金協力体制について、そして、又、より具体的に、国際的な医療体制の整備と人材の共同育成と治療薬の開発協力ぐらいは、話し合って然るべきであろう。指導者が、皆、手前味噌でどうする。
それにしても、マーケットは浮足立っている。企業の人気には、ばらつきがあり、ネット中心の若いデイトレーダーの新興市場での勢いが凄(スサ)まじい。しかしながら、米国市場は、引き続き、波乱の毎日である。優良銘柄と思われたものも、ある日、突然、急落する。これは、米国の企業のほとんどが、今、現金(手元流動性)不足に陥っていることを、暗に示しているのであり、実は、このバランスシートの変調は、支払いリスクの急激な増加、即ち、急膨張する債務の返済請求と相まって、市場からの資金調達が間に合わず、内部留保も底をつく有様になっていることを反映している、と解釈できるのである。
それを象徴しているのが、PIPEの取引件数の異常な上昇である。その額は、もう、4月時点で、170億ドル(1兆8000億円)に上り、リーマンの時の年間取引額1200億ドル(13兆円)を、年内に遥かに超える額に達するだろう、と噂(ウワサ)されている。既に、大企業の中でも、デフォルトの悪夢に神経を尖(トガ)らせているところは少なくない。PIPE Private Investments in Public Equitiesとは、投資ファンドによる上場企業の私募増資引受けの事であるが、企業にとって、資金調達が容易である反面、公募価格を著しく下回る水準での株式売却を強いられることもままあり、従って、それは、日常的に行われる取引と言うより、やはり、非常手段であり、背に腹は代えられない決断によって行われるべきものと言う他ない。それだけ、今の米国の上場企業は、債務に汲々としているのである。