復活への階段 その9
復活への階段 the stairs to resurrection その9
2022年8月,FRBは二度目の0.75%の利上げを実施した。この効果か,アメリカのインフレ率は低下し,賃金の上昇も手伝って,マーケットの反応も良く,S&P500は半値戻しの買いが入った。このタイミングで9月のFOMCが0,5%に利上げで済めば,アメリカ経済の回復基調は確...
Melpotemeの渇き 2章
Melpotemeの渇き 2章
独白。monologue。
渇きとは,何時の時代にもある渇望のことである。
20世紀も半ば過ぎ,世界戦争が終結して間もない頃の「100年後の世界」と題する論説を読むと,大学は解体されて既に無く,学歴は各々個人がテレビ電話を使って学習し,定期試験や論文を提出して,テーマごとに国家機...
ヤスパース 限界状況 ;近代ドイツ 16
ヤスパース 限界状況;近代ドイツ 16
カール・ヤスパース(Karl Theodor Jaspers 1883.2.23.-1969.2.26.)は,ニーダーザクセン州オルデンブルクに生まれた。父は銀行勤めとも,法曹界の出身とも言われる。ヤスパースは,早くから,哲学に目覚め,古典語ギムナジウムから1901年ハイデルベルク大学に入学,次いでミ...
Melpotemeの渇き 1章
Melponemeの渇き 1章
ファウスト登場。Faust。正直者の遍歴。Honesty's itinerary。
渇きとは,何時の時代にもある渇望のことである。
ボクたちは,誕生と同時に,知的欲求という余り有り難くも無い,無い物強請(ネダ)りのDNAを宿して生まれ,知への渇望に振り回されて生きてきた。生命の神秘や文明の由縁に...
Melponemeの渇き 序章
Melponemeの渇き 序章
(Melponeme(メルポネーメ)とは,悲劇の女神,のことである。)
少なくとも,20世紀半ば位まで,人々は,放浪する魂という,因循な世界観に縛られてきた。それは閉じられた円環で繰り返される循環運命論である。人間は時空を超え,過去にも未来にも魂となって生き続けるというその思想...
幸福の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
幸運の輪[Wheel of Fortune];煉獄への誘い その10
花かおり 月霞む夜の手枕に 短き夢ぞ なほ別れ行く (玉葉和歌集)
舞台には幕が降りつつある。春の夜のひととき,うとうとと,為相(冷泉為相 1263-1328.8.22.)は,別れの切なさや遣る瀬無さを振り返り,その邂逅の縁(エニシ)の不思議に想いを馳...
ニーチェ 神は死んだ(2);近代ドイツ 15
ニーチェ 神は死んだ(2);近代ドイツ 15
1881年,ニーチェが,アルプス山中を散歩している最中に啓示の如く閃(ヒラメ)いたのが永劫回帰という概念であったが,1883年,その思想の延長線上に浮上したのが,超人という人をも神をも時間をも超越した存在である。その人格の物語が,「ツァラトゥストラはかく語った...
ニーチェ 神は死んだ(1);近代ドイツ 14
ニーチェ 神は死んだ(1);近代ドイツ 14
ニーチェ(Friedrich Wilhelm Niezsche 1844.10.15.-1900.8.25.)はプロイセン王国ザクセンのリッツェン近郊にプロテスタントの牧師を父として生まれたが,その父を5歳の時に失い,母と妹エリザベート共にザーレ湖畔のナウムブルクに移った。プォルタ校の人文主義教育は彼...
復活への階段 その8
復活への階段 the stairs to resurrection その8
2022年6月のアメリカのインフレ率は8.6%に達し,FRBは長期金利を0.75%引き上げ,インフレ退治に本格的に乗り出した。これは,最も警戒すべきリセッションが目前に迫っていることを予感させ,同時にスタグフレーションの落とし穴に向かって,経済全体が委縮していく前...
リヒャルト・ワーグナー 民族的芸術の躍動(1);近代ドイツ 11
リヒャルト・ワーグナー 民族的芸術の躍動(1);近代ドイツ 11
リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner 1813.5.22.-1883.2.13.) が生を受けたのは,ザクセン王国のライプツィヒである。父親は警察の下級官吏であり,母親はパン屋の娘であって,リヒャルトは第9子であり,父親は誕生から間もなく急逝した。...