復活への階段 the stairs to resurrection その8
2022年6月のアメリカのインフレ率は8.6%に達し,FRBは長期金利を0.75%引き上げ,インフレ退治に本格的に乗り出した。これは,最も警戒すべきリセッションが目前に迫っていることを予感させ,同時にスタグフレーションの落とし穴に向かって,経済全体が委縮していく前兆と捉えられる。パウエル議長は,注意深く,その危険性には言及せず,金利の連続的上昇がマーケットに与える衝撃をいかに低レベルに抑えるか,ということに配慮する姿勢を取った。このドル高と経済の後退局面においては,債権国としてのアメリカの資産の増減が世界経済の目安であり,アメリカ自身にとっても債券相場は,景気回復の命とりになりかねないとの懸念があることは言うまでもない。今後の長期金利の動向だけで,リセッションを回避できるかどうかは未知数であり,次のFOMCの結果待ちと言えそうである。
2022年6月のアメリカのインフレ率は8.6%に達し,FRBは長期金利を0.75%引き上げ,インフレ退治に本格的に乗り出した。これは,最も警戒すべきリセッションが目前に迫っていることを予感させ,同時にスタグフレーションの落とし穴に向かって,経済全体が委縮していく前兆と捉えられる。パウエル議長は,注意深く,その危険性には言及せず,金利の連続的上昇がマーケットに与える衝撃をいかに低レベルに抑えるか,ということに配慮する姿勢を取った。このドル高と経済の後退局面においては,債権国としてのアメリカの資産の増減が世界経済の目安であり,アメリカ自身にとっても債券相場は,景気回復の命とりになりかねないとの懸念があることは言うまでもない。今後の長期金利の動向だけで,リセッションを回避できるかどうかは未知数であり,次のFOMCの結果待ちと言えそうである。
日本経済の今後を考えると,現在の円安水準で景気が反転するとは思えず,据え置きオペを継続していくことは逆に現状の物価高を容認するものと受け取られ,所得格差を助長することに気づいてはいるだろうが,何ら打つ手がないように見える。これまでの市場への資金供給は緩和策の継続で行き過ぎており,日銀には流動資産が積み上がっている。その償却の道筋が全くついていないにもかかわらず,緊縮策の議論さえされていない。発行国債の5割を日銀が保有するという異常事態になっていることについても,緊張感が無く,ただ漫然と放漫財政を続けているだけである。政府に至っては,歳出の超過を当然の如く承認し,国債頼みの付け回しを繰り返している。それに防衛費の増額という有り難くない予算の修正も予定され,与党も野党も,予算の際限ない膨張を傍観しているに過ぎない。
最後に,三井住友FGとSBI証券の提携の話である。既に,新生銀行を取り込んだSBIホールディングスの次の一手は,巨大メガバンクとの対等な提携関係に入ることであった。三井住友は三菱UFJにディジタル化で後れを取っており,その収益には格差が生じている。三井住友にとって,SBIホールディングスと接近する最大の目的は,相互補完を図り,共存共栄の道を探る未来志向の考えがあるものと言える。当面,三井住友は時価総額の一割,800億円相当を第三者割当増資の形でSBIに供与し,事実上の資本提携関係を結ぶことになる。SBIは地銀との包括的提携を通じ,地方のIT化されていない有力企業市場への関与を深めつつ,メガバンクの一角にも存在感を持つことになる。