ショートコラムの憂鬱 2020 part 8
Route vers la liberte(自由への道)。 アルベール・カミュ(Albert Camus 1913.11.7.-1960.1.4.)の随筆に「シーシュポスの神話(Le Mythe de Sisyphe)」がある。シーシュポスSisyphos(Sisyphus)はゼウスZeusからある山の山頂へ巨大な岩を押し上げるよう命じられており、一日がかりで山頂へ押し上げるのであるが...
イノセントラヴァーズ 2章 innocent lovers chapter 2
1970年2月17日、妹グレース・パトリシアは3年余の入院治療の甲斐も無く、昏睡のまま息を引き取った。10歳だった。既に、余命が尽きようとしていることは分かっていたものの、ペトラたち家族にとって、その喪失は大きな悲しみであり、耐え難い苦痛であった。 ペトラは、最愛の妹の、呆気ない死に、自分の無力感を感じ...
ショートコラムの憂鬱 2020 part 7
愛こそはベスト。 とにかく、エリック・シーガル(Erich Segal 1937.6.16.-2010.1.17.)のあの疑似的純愛(全くの作り物、という感じ。)の「ある愛の詩(ラヴ・ストーリー)」が世に出たことによって、当時の若者たちがいかに純真無垢であるか、ということが、実しやかに喧伝(ケンデン)され、それを是とする風潮が...
イノセントラヴァーズ 1章 innocent lovers chapter 1
その女性は、身長159㎝と小柄で、就寝は3時か、4時。睡眠時間は4,5時間という、かなりハードな一日を送っていた。緑の党ができて、まだ3年という頃である。ペトラ・ケリー(Petra Kelley 1947.11.29.-1992.10.1.)はブリュッセルのEC(欧州共同体)の職員を勤めながら、地元西ドイツのボンやフランクフルトを駆け回り、...
マルクスとエンゲルス(1) 運命の二人 最初の出会い;近代ドイツ 7
カール・マルクス(Karl Marx 1818.5.5.-1883.3.14.)は、由緒あるユダヤ教のラビ(導師)の家系の出である実直な弁護士ハインリヒと、同じユダヤ教徒でオランダ出身のヘンリエッタを両親に、プロイセン王国のライン地方の町トリーアに、その次男として誕生した。トリーアは、中世以降、トリーア大司教領の都として栄え...
ハプスブルク帝国の衰微とプロイセンによる関税同盟の進展;近代ドイツ 5
1821年、メッテルニヒはオーストリア宰相となり、ハプスブルクは、オーストリア、ハンガリー、ボヘミア、プロイセンを除くドイツ、北イタリアの中南欧のほぼ60%を占める一大帝国に成長した。メッテルニヒの面目躍如である。しかし、ウィーン体制は思わぬところからひびが入った。スペイン領アメリカである。ブルボン家の...
ポーランドの国難と聖母
ポーランド南部の町チェストホヴァは、1381年、聖母が出現した、と言われる町である。この町の“光の山”の頂にあるヤスナ・ゴラ修道院のパトロンヌ(守護聖女)は勿論、聖母マリアであり、ビエルジュ・ノアール(黒衣の聖母)像が安置されている。1978年10月22日、日曜日、就任のミサを終えた教皇ヨハネパウロ2世は、当時...
全能の神の眼 The Eyes of Providence
1ドル紙幣の裏面にあるピラミッドの目。ただならぬ気配を漂わせた図案である。これは、俗に、プロヴィデンスの目、と呼ばれる意匠で、中世以来、主に、エジプシャン・マジックという一種の呪術の世界で使われてきた図案である。1ドル紙幣に採用されたのは、1935年で、比較的新しいが、その基になっているのは、1776年...
日本人の特質。また、忘却の構造とわび・さび。
忘却と浄化の相関について。 わび・さびは、カタルシスとその余韻とを生み出す源泉であると同時に、その結果でもある。アリストテレス(Aristoteles B.C.384.6.19.-B.C.322.3.7.)が、その演劇論で述べたカタルシスkatharsis、すなわち、精神の浄化は、悲劇が観客にもたらす怖れ(pobos)と憐れみ(eleos)によって呼び起...
ヘーゲル、弁証法による世界観の成立、もしくは、神との葛藤;近代ドイツ 4
ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel 1770.8.27.-1831.11.14.)は、シュトットガルトのプロテスタント(父は中級官吏)の家に生まれ、幼児期よりラテン語の手ほどきを受けて、知識欲も旺盛な子供であったが、13歳の時、母親が死去し、人間の運命について考えるようになった。1788年、18歳になると、チュービンゲン...
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