復活への階段 the stairs to resurrection その2
不毛の大統領選挙まで1カ月も無い。9月のFOMCは、議会の党派対立の余波を受けて、全くの空砲に終わり、何ら有効な手立てを講じる術もなく幕を閉じた。そこには空虚な、あからさまな、荒廃した民主主義に対する幻滅が残った。パウエル議長の、「景気回復まで金利は緩和的に維持し、経済を支える。」という言葉が繰り返さ...
イノセントラヴァーズ 8章 innocent lovers chapter 8
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
別居した二人の手紙のやり取りは、専(モッパ)ら離婚の条件についてだった。ミレヴァの健康状態は思わしくなく、表情も沈み、とても39歳とは思えない容貌に変化していた。子供たちは、落ち着かない様子の母親と自分たちを裏切った父親との不毛の争いに疲れ、取...
ショートコラムの憂鬱 2020 part 9
幸運と夢の未来。lucky chance and dreaming future。
アルゼンティンは、永く、破綻(デフォルト)国家として有名だったが、今回のパンデミック危機では夏前に、主な債権国との協議が水面下で進展し、この秋には、全ての債務再編の当事者と具体的な合意に達すると言われている。それが、その通り、期待通り、実現す...
イノセントラヴァーズ 7章 innocent lovers chapter 7
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
何事もなかったかのように日々は続いた。晩餐の灯も消えなかった。いつものように人々は集い、二人の英知を讃(タタ)え、励ました。街はうっすらと明け、朝靄(モヤ)に身を包み、眠そうな知性が目を覚ます。1904年5月、二人に長男ハンス-アルバート(Hans-Albe...
イノセントラヴァーズ 6章 innocent lovers chapter 6
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
1902年1月の下旬、ミレヴァは大変な難産の末、女の子を出産した。リーゼルと名付けられたその子は、幸福とは縁遠い人生を歩むことになる。ミレヴァは、A・Eの到着を心待ちにしていたが、それは叶わなかった。しかし、彼は誠意を見せた。「君のお父さんから手紙が...
イノセントラヴァーズ 4章 innocent lovers chapter 4
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
A・Eとミレヴァは数式を用いて、レーナルトよろしく、宇宙の法則を解き明かそうと、計算に明け暮れる毎日を送っていた。彼らが、よく、夢中で読む本と言えば、新しいタイプの物理学者、マイケル・ファラデー(Michael Faraday 1791.9.22.-1867.8.25.)やジェーム...
イノセントラヴァーズ 5章 innocent lovers chapter 5
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
A・Eは、親族や世間体を気にする両親のありきたりの要求を呑んで、凡庸(ボンヨウ)な中等学校の教職に就こうとは思っていなかった。彼は若く、ロマンティックで野心に満ち、夢に憑(ツ)かれていた。彼は、自分の可能性を切り開こうと、自らを鼓舞し、能力を引...
復活への階段 the stairs to resurrection その1
8月27日、カンザスシティー地区連銀が主催する年次経済シンポジウム、ジャクソンホール会議の冒頭、FRBのパウエル議長は、9月のFOMCの例会を待たずに、金融政策の一部変更を前倒しして発表した。それは、「物価上昇率の低迷が現在、深刻なリスクとなっていることに鑑み、年率2%を下回る状態が続く場合には、当面、2%を...
イノセントラヴァーズ 3章 innocent lovers chapter 3
ミレヴァ・マリッチ 生涯の天使(lifelong angel)。
1981年12月、雨の夜、プリンストン大学の高等研究所から、大量の書類を運び出そうとする集団があった。彼らは重武装した一群の兵士であり、明らかに合衆国の軍隊ではなかった。
物語は26年前に遡る。20世紀最高の頭脳アルバート・アインシュタイン(Albert Ei...
微睡日記抄 その6
万物流転、生死、皆、自然なるべし。
「これからの地球は、人口過剰が最も大きな問題となる。放っておけば、人間が犠牲を強いられる辛い、悲劇的な時代が来ます。戦争を起こさず、世界規模の人口過剰を回避する、これが科学技術の重要な目的だと思います。」手塚治虫(1928.11.3.-1989.2.9.)先生は、まだ、科学技術...