HOME > 復活への階段 the stairs to resurrection その1 最近の投稿 不思議の国の高度理系人材の不足 2 不思議の国の高度理系人材の不足 1 ショートコラムの憂鬱 2022 part 2 知らず語りのレトリック。 幸運の輪 [wheel of fortune];煉獄への誘い その11 アーカイブ 月を選択 2022年12月 (1件) 2022年11月 (3件) 2022年10月 (3件) 2022年09月 (12件) 2022年08月 (4件) 2022年07月 (3件) 2022年06月 (10件) 2022年05月 (4件) 2022年04月 (2件) 2022年03月 (2件) 2021年12月 (7件) 2021年11月 (7件) 2021年10月 (9件) 2021年09月 (3件) 2021年08月 (10件) 2021年07月 (5件) 2020年11月 (10件) 2020年10月 (6件) 2020年09月 (8件) 2020年08月 (11件) 2020年07月 (12件) 2020年06月 (15件) 2020年05月 (11件) 2020年04月 (3件) 2020年03月 (11件) 2020年01月 (3件) 2019年12月 (3件) 2019年11月 (9件) 2019年10月 (5件) 2019年09月 (5件) 2019年08月 (5件) 2019年07月 (7件) 2019年06月 (6件) 2019年04月 (1件) 2019年03月 (5件) 2018年12月 (4件) 2018年11月 (1件) 2018年08月 (2件) 2018年05月 (2件) 2017年11月 (1件) 2017年08月 (1件) 2017年06月 (2件) 2017年05月 (1件) 2017年04月 (2件) 2017年03月 (3件) カテゴリー カテゴリーを選択 コンピューター AI トピックス ドイツ ネコ 世界 人 占い 哲学 地球 宗教 工学 心理学 手塚治虫 文学 歴史 環境 生活 生理学 真理 社会 神聖ローマ帝国 科学 経済 自我と人格 言葉 言語 近代ドイツ 運命 音楽 復活への階段 the stairs to resurrection その1 8月27日、カンザスシティー地区連銀が主催する年次経済シンポジウム、ジャクソンホール会議の冒頭、FRBのパウエル議長は、9月のFOMCの例会を待たずに、金融政策の一部変更を前倒しして発表した。それは、「物価上昇率の低迷が現在、深刻なリスクとなっていることに鑑み、年率2%を下回る状態が続く場合には、当面、2%を上回る水準を目指すことが適切である。」との認識によるもので、今後は、インフレ率(物価上昇率)を期間平均して合算する方式を取る方針を明らかにした。それは、具体的には、下振れが続いた場合には、その後、2%を超える水準に達した場合でも、一定期間、これを容認することを意味し、それは、取りも直さず、その期間の物価上昇を許すことである。 これが示唆するところは、既に、フォワードガイダンス(金融政策の長期的目標と戦略構想文書)の縛りで、雇用情勢が回復しなければ利上げはしない、という建前がある以上、一時的に、物価の上昇が加速しても、利上げは行わない、と表明したも同然である、ということにある。議長は、講演を「経済は常に進化していて、目標を達成するためには政策を適応させていかなければならない。」と締め括(クク)った。そして、FOMCは同日付で、フォワードガイダンスの表現一部変更を全会一致で承認した、と発表した。内容は、議長の講演を踏襲(トウシュウ)したもので、最後に、政策金利が下限に接近した(中立金利の下降)ため、金融当局が、政策決定に行き詰まり、機動的な運営に支障が出たことに触れ、議長が、直近の政策運営を強化する必要から、素早く対処したことを明らかにした。 経済の立て直しは切迫した喫緊の課題であり、各国はそれぞれ独自の取り組みを続けているが、その方向性を巡って、混沌とする日本などを尻目に、コロナ後のアメリカ経済がその変貌した姿を現しつつある。アメリカ企業のこの4-6月期の自社株買いの金額が8年ぶりの低水準に留まっていることについて、S&P500指数の対象企業の95%を集計した結果を見てみると、自社株買いの合計が約897億ドルと、前年比46%のマイナスであり、2009年以降初めて、自社株買いよりも配当に多くの金額を支払った計算になるが、それでも、4-6月期の配当は1190億ドル余りと、前年を僅(ワズ)かに上回ったに過ぎない。自社株買いは資本を減少させ、自己資本利益率(ROE)を上昇させる効果があることは周知の通りであるが、借金をして、自社株買いをするケースもあり、株価底上げの常套(ジョウトウ)手段として、企業担当者に乱用されてきた嫌いがあることも否めない。 今回のこの手法の減退が、果たして、株取引の正常化を示すものか、どうか、についてはコメントしないが、又、状況が変われば、元に復すものと思っていた方がいいような気がする。というのも、パンデミック直後、火の消えたように沈滞していた世界的なM&Aが、ここにきて急速に復活してきて、10億ドル(≒1000億円)を超す案件も珍しくない有様となっているからである。これには、低金利に寄りかかり、相変わらずの、借金体質に依存して、莫大な投資を繰り返すアメリカ経済にドップリ浸かってしまって、感覚の麻痺した国民も、驚くに違いない。その国民は、コロナ・ショックによって一様に全員参加型の社会を志向し始めていて、民主的な利益再配分の主張に傾いている。それが、表向き公共財である企業の経営姿勢に、少なからぬ影響を与える事態になってしまっているのも、皮肉なことである。本来の再生産再投資を重視した資本拡大モデルから抜け出すことなど不可能と思われてきた企業体質を、個人投資家・従業員・顧客といった、利害関係者全員の利益を重視するバランス型のステークホルダー主義へ方向転換させることになったパンデノミクスとは、一体、何だったのか、今後の歴史的分析が待たれる。前述の自社株買いの減額と配当の増額は、実に、この一側面が表出したものであった。アメリカ経済は、真にプラスティックに、そして、常に、フレキシブルに変化している。 さて、アメリカは固(モト)より、雇用の最大化とは、今、一番ホットで重要な話題だ。「誰が、いつ、どこで、どう、働けばよいのか?」とにかく、どんな職種のどんな職場なのか?行政は答を出さなければならない。つまり、インフラ・リストラクチャーなど、目の前の産業再生によるマン・パワーの吸収や、次代の再生可能エネルギー、或いはテクノロジーによる持続可能な経済社会の構築の準備にあたる人材の育成や、諸々の施策を打ち出さねばならない。政府が、未来化する学産振興に投資することによって、その周辺のサービス・金融産業の活性化を図り、その需要から製造業を復活させる、という、基本構想、青写真を提示することも考えてもいい。再生のシナリオを描くのは、だから、君たちだ。 世界 経済 2020年09月04日 Posted by kirisawa 戻る
これが示唆するところは、既に、フォワードガイダンス(金融政策の長期的目標と戦略構想文書)の縛りで、雇用情勢が回復しなければ利上げはしない、という建前がある以上、一時的に、物価の上昇が加速しても、利上げは行わない、と表明したも同然である、ということにある。議長は、講演を「経済は常に進化していて、目標を達成するためには政策を適応させていかなければならない。」と締め括(クク)った。そして、FOMCは同日付で、フォワードガイダンスの表現一部変更を全会一致で承認した、と発表した。内容は、議長の講演を踏襲(トウシュウ)したもので、最後に、政策金利が下限に接近した(中立金利の下降)ため、金融当局が、政策決定に行き詰まり、機動的な運営に支障が出たことに触れ、議長が、直近の政策運営を強化する必要から、素早く対処したことを明らかにした。
経済の立て直しは切迫した喫緊の課題であり、各国はそれぞれ独自の取り組みを続けているが、その方向性を巡って、混沌とする日本などを尻目に、コロナ後のアメリカ経済がその変貌した姿を現しつつある。アメリカ企業のこの4-6月期の自社株買いの金額が8年ぶりの低水準に留まっていることについて、S&P500指数の対象企業の95%を集計した結果を見てみると、自社株買いの合計が約897億ドルと、前年比46%のマイナスであり、2009年以降初めて、自社株買いよりも配当に多くの金額を支払った計算になるが、それでも、4-6月期の配当は1190億ドル余りと、前年を僅(ワズ)かに上回ったに過ぎない。自社株買いは資本を減少させ、自己資本利益率(ROE)を上昇させる効果があることは周知の通りであるが、借金をして、自社株買いをするケースもあり、株価底上げの常套(ジョウトウ)手段として、企業担当者に乱用されてきた嫌いがあることも否めない。
今回のこの手法の減退が、果たして、株取引の正常化を示すものか、どうか、についてはコメントしないが、又、状況が変われば、元に復すものと思っていた方がいいような気がする。というのも、パンデミック直後、火の消えたように沈滞していた世界的なM&Aが、ここにきて急速に復活してきて、10億ドル(≒1000億円)を超す案件も珍しくない有様となっているからである。これには、低金利に寄りかかり、相変わらずの、借金体質に依存して、莫大な投資を繰り返すアメリカ経済にドップリ浸かってしまって、感覚の麻痺した国民も、驚くに違いない。その国民は、コロナ・ショックによって一様に全員参加型の社会を志向し始めていて、民主的な利益再配分の主張に傾いている。それが、表向き公共財である企業の経営姿勢に、少なからぬ影響を与える事態になってしまっているのも、皮肉なことである。本来の再生産再投資を重視した資本拡大モデルから抜け出すことなど不可能と思われてきた企業体質を、個人投資家・従業員・顧客といった、利害関係者全員の利益を重視するバランス型のステークホルダー主義へ方向転換させることになったパンデノミクスとは、一体、何だったのか、今後の歴史的分析が待たれる。前述の自社株買いの減額と配当の増額は、実に、この一側面が表出したものであった。アメリカ経済は、真にプラスティックに、そして、常に、フレキシブルに変化している。
さて、アメリカは固(モト)より、雇用の最大化とは、今、一番ホットで重要な話題だ。「誰が、いつ、どこで、どう、働けばよいのか?」とにかく、どんな職種のどんな職場なのか?行政は答を出さなければならない。つまり、インフラ・リストラクチャーなど、目の前の産業再生によるマン・パワーの吸収や、次代の再生可能エネルギー、或いはテクノロジーによる持続可能な経済社会の構築の準備にあたる人材の育成や、諸々の施策を打ち出さねばならない。政府が、未来化する学産振興に投資することによって、その周辺のサービス・金融産業の活性化を図り、その需要から製造業を復活させる、という、基本構想、青写真を提示することも考えてもいい。再生のシナリオを描くのは、だから、君たちだ。