楽園の破綻 the collapse of paradise その7
この一週間のコロナショックへの金融当局の対応は、何もしないよりはマシ、といった程度の内容で、完全に後手に回り、タイミング的にも遅きに失した感があることは否めない。問題は、今年の世界経済に与える実質的な、あるいは、実体経済へのダメージが予想の範囲を超えていることが明らかに成りつつあることと、常態へ...
楽園の破綻 the collapse of paradise その6
コロナヴィールスによるダメージは、まだ思ったほどでなく、マーケットは比較的落ち着いている、と言った方がよいだろう。これは、まだ、金融当局に打つ手がある、との希望的観測による。ただし、今後の展開は予断を許さない。実体経済へのダメージは、甘く見られている、というのが、暗黙の了解であって、より大きな不...
楽園の破綻 the collapse of paradise その5
今回は、株高・債券高で終わりそうな今年の締め括(クク)りとして、投資家心理に大きな影響を与えたリセッション観測と債務問題の行方について解説する。
11月、一時的に長期金利が上昇して、ニューヨークの一部の不動産価格に下降傾向がみられ、REITが不安定化する事変が起きたが、これも大きな波乱要因にならず...
楽園の破綻 the collapse of paradise その4
国内株式は、目下、上昇トレンドにあり、少なからず、来年への期待から、大幅に持ち直してはいるが、それでも前年の域に達するほどではなく、ようやく年初来高値という水準である。外国人ヘッジファンドなどは、来年のオリンピックまでは、景気後退の心配は少ないと判断していることもあり、又は、日銀の追加緩和の可...
楽園の破綻 the collapse of paradise その3
米中関係改善の期待から、小さなローテーションが起きている。10月の後半は見方が二分されているが、果たしてどうなるか、甘い見通しは禁物である。これが、株高の前振りであるのか、瞬間風速狙いの煽(アオ)りなのか、即断はできないが、慎重であることに越したことはない。おそらく、この動きは一時的に、低リスク...
サヨナラ参画、また来て視覚(死角) 第四話
もう、陽は陰りだしている。楡の並木の木立から差し込む光の中を二人は歩いているのだった。「大体、mis-leadなのよ。」彼女にしてみれば、彼の思惑が完全に外れていることなど、二の次なのだ。「聴いてる方もウンザリよ。」その視線の先に彼はいない。「的外れだったかな?」彼は何でこんなsituationになってしまった...
楽園の破綻 the collapse of paradise その2
マーケットは縮小均衡の様相である。9月の利下げは予定通り行われたが、FRBの面々はおっかなびっくりといった感じである。何が飛び出すか、わからないマーケット外の場外乱闘が目立つ昨今、落ち着いて、長期の金融政策を策定するには、環境が不透明すぎるきらいがあり、慎重にも慎重な安全運転は年末まで続くと見た方...
楽園の破綻 the collapse of paradise その1
米国債の2年物と10年物との金利差が逆転し(逆イールド)、株式市場は過剰に反応したように思う。マーケットが悲観的だったのは、どう考えても、2020年(来年)のアメリカ経済は、大統領の言う景気の力強い持続、などとは正反対の、出口の見えない長いトンネルの入口に差し掛かるのではないか、という漠然とした不安が...
債務転嫁の限界 2019.8.15
2019.08.15
経済
債券市場からの資金調達による株式市場の活況ももはや、限界である。このままでは資金の枯渇につながる社債などの償還・借り換えの金利上昇は避けられない。と思われた事態も、土壇場で無茶苦茶な利下げによって事なきを得たのだが、実際に積みあがっていく債務の償却はどうなるのか、誰にも分からない。というか、責...
サヨナラ参画、また来て視覚(死角) 第三話
会議室を出ても、彼に声をかける者はいなかった。「してやられた。」という心の中の独白も、彼には、全く空疎で虚しい、精神的自傷行為とも言える愚痴でしかない。「何故、最近の女子は人の言うことに牙をむくのか?発言の機会だって与えているじゃないか。」頭の中で自問自答しているうちに、elevatorのdoorは閉まり、...