サヨナラ参画、また来て視覚(死角) 第四話


 もう、陽は陰りだしている。楡の並木の木立から差し込む光の中を二人は歩いているのだった。「大体、mis-leadなのよ。」彼女にしてみれば、彼の思惑が完全に外れていることなど、二の次なのだ。「聴いてる方もウンザリよ。」その視線の先に彼はいない。「的外れだったかな?」彼は何でこんなsituationになってしまったのか、考えながら、黙々と歩いていた。そして、唐突に、「そりゃあ、つじつま合わせっていうだけなら、君の言うように、切り口上で説明しただけでよかったかもしれないが、君だけを相手にしているわけじゃあないんだ。それに、一応、提案者(proposer)なんだからね。」と、又しても、無意味な反撃に出た。「だから?」すぐ切り返しが来る。彼は、「責任というものがあるだろ。」と、間を置かずに答えた。彼女はまだ何か言いたげであったが、ここは矛を収めることにした。ただ、ニンマリと笑った。何故、二人でこんな道行きをしているのか、いつもではあり得ない不確かな迷いに答えを見つけだそうとしている自分に苦笑いしただけだったが、彼はその様子を見て満足そうに笑った。それは、よくあるすれ違いというものだろう。
もう、すでに、駅のconcourseが近づいていた。お互いの誤解に気づかぬまま、二人は別れた。夕闇が街を包む数分前のことである。

 大体、Leveraged loanの進捗状況について、国内の金融関係者はあまりにも鈍感ではないか?(それが何かすら、知らない者がいる。)確かに今年はそのfundの償還件数も少なく、米国で言われているほど、危険なfactorではないと高を括(クク)っている向きもあるが、それは間違いである。Dum(ダム)から水が溢(アフ)れそうになるまで、決壊に気づかない管理者が、無能であるのと、同じことである。
 Leveraged loanとは、high income loanとも呼ばれ、syndicate loanの中でも、対象は、信用格付けがBB以下(high yield債と同じ)の企業で、債券発行時の金利がLIBORより150basis point 以上高い(high risk, high return)loanを指すが、その残高は、今や1兆3千億ドル(dollars)に達していて、これを証券化したclo(ローン担保証券)の発行額は1250億ドル(dollars)を超えて、今なお、増加しているというのが、現実である。ただ、この商品も、FRB金利に対応した変動金利商品であるため、硬直的でないというのがウリであるが、どうだろう?
 今、marketでは静かな資金流出が始まっている。商品市場や不動産の動向も目が離せなくなっている。債券市場は、PIMCOやPICTETが資金の保全のためnet上に盛んに都合いいnewsを載せているが、それも金利の現状維持が決まる来年の2月には方向転換を余儀なくされるだろう。
2019年09月26日
Posted by kirisawa
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