復活への階段 the stairs to resurrection その1
8月27日、カンザスシティー地区連銀が主催する年次経済シンポジウム、ジャクソンホール会議の冒頭、FRBのパウエル議長は、9月のFOMCの例会を待たずに、金融政策の一部変更を前倒しして発表した。それは、「物価上昇率の低迷が現在、深刻なリスクとなっていることに鑑み、年率2%を下回る状態が続く場合には、当面、2%を...
楽園の破綻 the collapse of paradise extra edition(sonata in fall)
早くも、4月には、それは始まっていた。パンデミック・ショックに見舞われた3月、休業に追い込まれたサービス業の従業員たちを中心に、賃金カットの嵐は吹き荒れ、その大半の30代の既婚者層には、戸建てやマンションを住宅ローンで購入して間もない人も少なくなかったことから、ローンの返済に立ち往生する世帯も出始め...
楽園の破綻 the collapse of paradise その15
7月30日、定例のFOMC(連邦公開市場委員会)は終わり、FRBは、ゼロ金利政策と量的緩和の継続の維持を発表した。発表はこともなげに行われたが、続いて行われたパウエル議長の会見と合わせて考えてみると、今回の会合は、かなり内容の濃い、重要な要素をはらんでいたものと推測される。先ず、概略とポイントを述べる。
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楽園の破綻 the collapse of paradise その14
不可逆的矛盾、あるいは、逆襲のプロット。
irreversible contradiction, or counterattack plot。
さて、ステージのアウトサイドで奇妙な動きが始まっている。一向に収まらない過剰なマネーの勢いに、さすがのマーケット・プレイヤーたちも辟易したらしく、そろそろ、次のステージへ移るタイミングを探りだしたよ...
楽園の破綻 the collapse of paradise その13
株式の時価総額の順位に変動が起きている。テスラはトヨタを抜き、エヌヴィデアはインテルを抜き、それぞれ、1位は入れ替わった。ここにはっきりと表れたのは、もはや、マーケットは、これまでの実績を直視したりしていない、ということである。トヨタは、生産台数でも、十分、単独で1位だし、インテルも、出荷台数その...
楽園の破綻 the collapse of paradise その12
6月2日、日銀と金融庁共同のCLOに関する合同調査の報告書が公表された。それによれば、日本の金融機関が保有するCLOは、3月31日の時点で、邦銀主要5行だけで、13兆6,000億円、ゆうちょ銀行、農林中央金庫、地銀、その他も合わせると、国際市場に流通する取引額の20%を占める規模となる。3月のパンデミック第一波による...
楽園の破綻 the collapse of paradise その11
国際物流の停滞が、今、ようやく始まった経済復旧に影を落としている。パンデミックのため、航空機の乗り入れ制限や船舶の入港制限が常態化していたが、6月から、状況に応じて緩和する措置が取られるようになってきた。しかし、物流の輸送コストは高止まりしたままである。これが、輸入産品に跳ね返り、日用品の小売価格...
楽園の破綻 the collapse of paradise その10
6月5日、5月の失業率が前月比-1.4%の13.3%に留(トド)まったと発表されるや、雇用情勢に回復の兆しがある、との、先走った報道が先行し、マーケットに、楽観ムードが広がったが、その理由の大部分が、あのPPP(給与保護プログラム)の一時的な先延ばし効果による瞞(マヤカ)しであることが明らかになると、先行きの...
楽園の破綻 the collapse of paradise その9
5月27日、FRB地区連銀経済報告(ベージュブック)2020が発表されたが、それは予想された通りの内容で、特段、大きな影響を市場に与えるものではなかった。ただ、企業は全般的に資金繰りに苦慮しており、大半の地区で生産は急激に落ち込み、支払いの遅延、未納が起きている。民間銀行では、PPPローン(Paycheck Protectio...
楽園の破綻 the collapse of paradise その8
4月9日、FRBは打つべき手を打った。総額2兆3000億ドル(250兆円相当)の資金供給という、無制限のQE(量的緩和)である。事実上、FRBが直接、民間企業に資金供給するという異例の措置で、従業員1万人以下の企業に対し、財務省と特別目的事業体を設立する形で、民間銀行を通して、1年間無利子で、融資枠最大6000億ドルの...