虚ろなる涙 その4
徒然なる不幸。(吉田秀和の手記参照)
その晩は、男の、最も親しく、かけがえのない輩(トモガラ)が、寂寞(セキバク)のしじまの彼方へ旅立っていく、やるせなく、哀しく揺蕩(タユタ)う、永訣の夜だったのだ。何者かが、凍える闇を徘徊し、沈黙の呪縛を呼び覚ます。それらは、我らを覆い、窒息させ、奈落へと突...
ザ・コンフィデンス(自信) Confidence in the culture of the New Age その1
その「Flamingo」でdanceする男の登場で、多分、時代は変わった。
彼の名は米津玄師(ヨネヅケンシ)(1991.3.10.)。徳島出身のシンガーソングライターだった。所謂、アイドル全盛と思われていた、若者のミュージック・シーンに一石を投じる存在として、米津は登場した。彼には、十分な作品の蓄積と創作力があり、何...
“神々”の系譜 その3
1964年、電子音楽の歴史に、画期的な変革をもたらす最終的な楽器、シンセサイザーsynthesizerの元祖、モーグ・シンセサイザー moog synthesizer(アナログ・シンセサイザーanalog synthesizer)が出現した。1950年代、テルミンのモジュールmodule製作で聞こえた電子楽器の発明・製作者、ロバート・モーグ(Robert Moog 1...
“神々”の系譜 その2
1960年代のmusic sceneは、pop musicとRock and Rollの流行と電気楽器の浸透、そして、jazz liveの退潮とが、同時並行的に進行したことが一つの特徴として挙げられる。殊に、jazz退潮の大きな理由には、underground sceneでのR&B、blues rockの比較的広範囲な進展と、公民権運動の結果、gospelやfolkへ黒人の関心が分散...
“神々”の系譜 prologue
20世紀、電子音楽は隆盛を極め、その勢いは、今世紀に至っても衰えを見せない。その根底には、どんな歴史があり、どんなdramaがあったのか、それを明らかにすることによって、その本質と意義を追求してみよう。
そもそも、電子音楽とは、電気回路の出現と共に姿を現した得体の知れない、奇妙な音の一群である。19世紀...
“神々”の系譜 その1
Jimi Hendrix(1942.11.27.-1970.9.18.変死)は黒人とnativeのquarterという、当時としても珍しい生い立ちで、不遇であった面もあったが、持って生まれた天性のdesign senseによって、rock musicのelectric guitar playerの頂点へと上り詰めた奇才(鬼才)である。そのplayは、全く前人未踏の開拓者魂によって貫かれた空...