ザ・コンフィデンス(自信) Confidence in the culture of the New Age その2


世界自身を知れ。recognize the world itself。

盤上を駆け巡る若き棋士、向かうところ敵無し、無敵の藤井聡太(2002.7.19.)の快進撃が注目されている。2007年、夏、5歳の聡太君は母方の祖母から将棋の手ほどきを受ける。簡単なコマの運びと並べ方だったという。そこから始まった将棋ゲームだったが、秋には祖父も歯が立たなくなっていた。やはり、俗にいう、頭の回転が違う、という言い方が当を得た表現になるのだろう。別格の脳なのである。

2015年10月18日、中学1年生の時、史上最年少(13歳2カ月)で奨励会三段に昇段し、翌2016年12月24日には、第30期竜王戦6組ランキング戦に出場、加藤一二三(1940.1.1.)と対局して、プロデビューしてしまった。結果は、110手で聡太君の勝ち。年の差、62歳6カ月の対局、と言うのも話題となった。その後、プロデビュー後、無敗を誇り、29連勝まで星を積み上げてきた聡太君だったが、2017年7月2日、竜王戦本戦2回戦、遂に佐々木勇気(1994.8.5.)に惜敗、連勝は止まった。

聡太君の棋風は居飛車党といわれる。得意戦法は角換わりで、角の使い方に妙がある。これまでの対戦相手の評などを鑑(カンガミ)て拝察してみると、序盤は強(シタタ)かな衛り、中盤以降の攻防は小攻めに攻めながら、終盤で激しい接戦に持ち込み、羽生善治(1970.9.27.)の言うところの、詰将棋でいう谷川浩司(1962.4.6.)の「光速の寄せ」によく似た、局面、局面での、高速で、緻密で、しかも、瞬時に考えられた変幻自在の指し手が次々と繰り出され、効果的に使われるのが特徴であると言える。対戦した相手は、一様に、聡太君の読みが深い、と感じる一方、研究しているわけではなく、その場、その場で考えてうまく指しているようだ、と感じている。

連勝記録は、過去のものとなったが、その後も、聡太君は最年少一般棋戦優勝など多くの記録を更新し、2020年7月16日、第91期ヒューリック杯棋聖戦では、渡辺明(1984.4.23.)棋聖に勝って、史上最年少17歳11カ月で初タイトル棋聖を獲得、続いて、8月20日、木村一基(1973.6.23.)王位を破り、第61期王位戦で王位を奪取し、最年少二冠・最年少八段昇段を果たした。そして、その勢いのまま、もう一つのタイトルを手に入れるべく、今年最後の大勝負に挑もうとしている。つまり、未だ、疾走中である。

ここで、彼の頭の中を覗いてみる一つのヒントについて。彼の憧れの人物、それは、我々の日常とはかけ離れた世界で、想像も出来ない生活を送るディジタル社会の中枢、先進的半導体製造企業、アドヴァンスト・ディジタル・デヴァイシズAMDのCEOリサ・スー(1969.11.7.)であり、彼は、知る人ぞ知る、AMDの組み立てパソコンRyzenのディープなユーザーなのだ。今回の対局の後も、記者会見で「落ち着いたら、パソコンを1台、組みたいと思います。」と発言、彼の日常の一端が垣間見えた。時代は確かに進んでいく。

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