復活への階段 the stairs to resurrection その4


復活への階段 the stairs to resurrection その4

気が付いてみると今年ももう2か月となっている。デルタ株の4波,5波も過ぎ,一先ず中国,ヨーロッパの動静はヴァクチンの効果もあり,一応の安定に戻りつつあるように見える。しかし,季節的なものか,どうか,は定かではないが,アメリカは元より,インド,ブラジルを中心に,途上国の情勢は極めて悪い。そして,日本の経済情勢は第5波をまともに浴びた結果,中国・アメリカ・ドイツ・フランスが,パンデミック以前のレヴェルにまで回復して来ているのに比べ,断然遅い。その上,新内閣の緩和継続表明をもって,日銀の政策変更は無いまま,年末までの財政は大盤振る舞いを続ける公算が強い。おそらくは,GPIFの実際上の運用先は,NY市場になっている,と考えるのが妥当であり,国内のマーケットは12月の予算措置や税制変更に焦点が移ってきている。成長と分配を主眼に置く政府の戦略で注目すべきことはTSMCの熊本新工場など,半導体製造企業に対するインセンティブ(補助金)の供与ぐらいだが,それはむしろ遅すぎたきらいもある政策決定である。

最近のNY市場は,原油を始めとする原材料高に押されて,喫緊の消費と雇用の回復が遅れそうな気配濃厚である。既に物価が上昇し始めており,弱いインフレを感じさせる。漸く下院を通過した150億ドルのインフラ整備法案だが,歳出歳入法案の成立が遅れれば遅れるほど,その期待感で持っているマーケットの景況感を悪化させることになりかねない。とくに,OPECプラスの原油先物は増産の見通しが立たないことから,アメリカのシェールとノルウェイの北海原油への依存度が高まることは必至である。マーケットは今,ダウのヴァリュー株で一息ついているが,年末商戦如何では腰砕けになっても不思議でない。もっとも,今回のFOMCでFRBはテーパリング(量的緩和の縮小)を今月から即日実施することを決め,その規模は毎月150億ドルと発表した。来年の利上げを宣言したともとれるパウエル(Jerome Pauel 1953.2.4.)議長の続投もほぼ間違いなく,今後はイエレン(Janet Yellen 1946.8.13.)財務長官との二人三脚がうまくいくか,どうか,がリセッション(景気後退)の泥沼に堕ちないためにも肝要である。しかしながら,産油国に限らず,世界はコロナに蝕(ムシバ)まれた状態から立ち直れず,常態へ復帰するため,途上国は今の通貨安から脱出しなければならず,足掻き続けることになろう。これを清算するには,米中を軸に先進国は団結して経済再生の道筋をつける義務があることを忘れてはならない。

 世界は5G時代に足を踏み入れており,ディジタル化の波は先進国だけでなく,途上国をも飲み込む勢いで進展している。その勝者敗者が何れになるか,は予断を許さないが,その結果世界が一つの大きなソサイエティとなることに疑問の余地は無く,次代はワンプラネットに進んでいくことは間違いない。時代は変わる。その入り口に,ボクたちは辿り着いたのだ。
2021年11月09日
Posted by kirisawa
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