退職後の生計と終末期医療 その1


退職後の生計と終末期医療   その1

 マス・メディアでも取り上げられるようになってきた人生100年時代。一体,何が問題か,と言うと,ずばり,生活費は何処から来るのか,働けなくなったら,誰の世話になるのか,いくら長寿社会になったとしても,子や孫も年をとる。現実問題としていくら健康なまま年をとったとしても85歳ごろまでにはガタが来る,と思うのが常識的なところではないか。その頃になれば,子の年齢も60歳を下らない,と考えるのが普通である,既に,退職年齢も60歳から65歳にシフトとしている現在,定年廃止・延長という選択肢はかなり,非現実的である。何故なら,それではいつ,いくら退職金がもらえるのか定かではなく,果たしてそれが妥当な額か,どうか,も分からないし,第一,年金制度が保(モ)つかどうか。

そんな状態でろくな資産も無く,退職後の生活設計をしろと言われてもできる訳が無い。国はそれを見越して,若年層をiDeCoという60歳まで現金化できない積み増し年金に誘い込んで,年金問題から目を逸らそうとしている。しかも,雇用者側には,企業型DCという制度の導入を要請し,年金問題の責任を民間に転嫁しようと計っているのだ。国はNISAという商品を金融機関に販売させ,資産形成に資するものと説明するが,果たして誰もが儲かるか。

今既に,60歳で定年を迎える人々は,十分な退職金ももらえず,とりあえず,再雇用という不安定な立場に追いやられ,ほぼ3年後からもらえる早期年金を当てにする他ないのが実情である。しかも,週休3日制の導入も始まり,労働協約に基づく雇用関係は維持されるものの,一人当たりの賃金は目減りしていくことは間違いない。それが待ち受けていることを思うと愕然(ガクゼン)とする。

 当然,これまで考えてきたようには,退職後の生活はバラ色と言う訳にはいかない。退職後も,何らかの仕事を見つけなければならない事態である。しかも,それから出来るだけ長く勤められる職場を,である。しかし,寿命が延びたからと言って,頭の回転が良くなる訳でもなく,むしろ,衰えていくことだけは確実である。従って,起業することはあまりお勧めできないが,余力がある方ならチャレンジしてみるのも一つの手である。それには機械に詳しい若者や女性の力が必要である。なぜ,若者だけでなく女性もか,と問われれば,世はまさにダイバーシティの時代だからである。今更,ESGの時代であることは言うまでもないが,男同士の仲間だけで作った会社など時代遅れであり,先行きに期待は持てない。世間に置き去りを食うだけである。それにわずかな財産を投資するのだから,失敗はできない。従って,慌てず,急がず,十分時をかけ,と言ってもチャンスを逸すること無く,始めるのがよろしかろう。株などの金融取引は,頭の正常な場合を除きやってはいけない。もう,マーケットを見る目が古いからである。今や,産業社会は大きな曲がり角に来ていて,若者から集めた投資資金で活況のように見えるが,いわゆるディジタル化の波を正面から受けようとする直前である。このような時に,グロース株は一時停滞し,ヴァリュー株に資金が集まる傾向が出るのは常識であり,それが過ぎれば,グロース株へ資金需要が戻ることは歴然としている。それでも,特定の銘柄に興味があるなら,やってみるのもいいだろう。余り,常識的とは言えないが。
2021年10月26日
Posted by kirisawa
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