HOME > ショートコラムの憂鬱 2020 part 11 Clockwork and lecherous shameless(時計仕掛けと色仕掛けの破廉恥)。 最近の投稿 不思議の国の高度理系人材の不足 2 不思議の国の高度理系人材の不足 1 ショートコラムの憂鬱 2022 part 2 知らず語りのレトリック。 幸運の輪 [wheel of fortune];煉獄への誘い その11 アーカイブ 月を選択 2022年12月 (1件) 2022年11月 (3件) 2022年10月 (3件) 2022年09月 (12件) 2022年08月 (4件) 2022年07月 (3件) 2022年06月 (10件) 2022年05月 (4件) 2022年04月 (2件) 2022年03月 (2件) 2021年12月 (7件) 2021年11月 (7件) 2021年10月 (9件) 2021年09月 (3件) 2021年08月 (10件) 2021年07月 (5件) 2020年11月 (10件) 2020年10月 (6件) 2020年09月 (8件) 2020年08月 (11件) 2020年07月 (12件) 2020年06月 (15件) 2020年05月 (11件) 2020年04月 (3件) 2020年03月 (11件) 2020年01月 (3件) 2019年12月 (3件) 2019年11月 (9件) 2019年10月 (5件) 2019年09月 (5件) 2019年08月 (5件) 2019年07月 (7件) 2019年06月 (6件) 2019年04月 (1件) 2019年03月 (5件) 2018年12月 (4件) 2018年11月 (1件) 2018年08月 (2件) 2018年05月 (2件) 2017年11月 (1件) 2017年08月 (1件) 2017年06月 (2件) 2017年05月 (1件) 2017年04月 (2件) 2017年03月 (3件) カテゴリー カテゴリーを選択 コンピューター AI トピックス ドイツ ネコ 世界 人 占い 哲学 地球 宗教 工学 心理学 手塚治虫 文学 歴史 環境 生活 生理学 真理 社会 神聖ローマ帝国 科学 経済 自我と人格 言葉 言語 近代ドイツ 運命 音楽 ショートコラムの憂鬱 2020 part 11 Clockwork and lecherous shameless(時計仕掛けと色仕掛けの破廉恥)。 その時、高橋章子(1952.10.28.)は、美術学校目指して浪人中の18歳の夏、だったと思う、と語っていた。気分はアセリ気味で虚無感に苛(サイナ)まれ、なにやらナサケナイの一言で、一人じゃヨソん家(チ)へ行ったことも無い自分が、妙に自虐的な心持ちになり、そのヨソん家(チ)、つまり、映画館に闖入(チンニュウ)して行ってしまったのだ、という。 映画館は、確か、渋谷文化の1Fだった。混んではいない。どちらかと言えば、空(ス)いている。明るい所から、急に、もうすでに始まっているその空間に足を踏み入れれば、お先真っ暗、目の前暗転である。手探りで、後ろの方に、座る。初めて、一人で映画館に入った心細さを少しでも和らげるには、その背後を気にしなくとも済む後ろの方の席が、何よりなのであった。人がいっぱい後ろにいると、ウンコをしているのを皆に見られているようで、落ち着かない。 その席に慣れてくると、館内の冷気が気になってくる。ヒンヤリしている。冷房が効いている。予備校サボって、こんなことしててイイんだろーか?嗚呼(アア)、この映像のシビアさ、今の私の心境を絵に描いたみたいではないか!う~ん、何だかわからぬ吐息が漏れている。段々、闇に眼も慣れ、周囲の気配のトーンにも気が付き、徐(オモムロ)にゆっくり見回すと… 何なんだ。皆、すっかり、春爛漫の花の色狂い。何で発情?ほの暗い館内は至る所でカップルがいちゃつき、視界に入る、ほぼすべての人類、ホモサピエンスは性的興奮、エキサイト状態だった、と高橋さんは回想する。そして、言う。「時計仕掛けのオレンジ」の詳細は覚えていない。ただ、ナナメ前の席のノースリーブの小麦色の女の子が、あ~んとか言って、男の子の口の中にポップコーンを一つずつ入れていた。私は、その「あ~ん」の事ばかりがやたら、しっかり記憶に残っていて、「時計仕掛けのオレンジ」と言えば、実に、この「あ~ん」だけなのである。 トピックス 人 生活 2020年11月01日 Posted by kirisawa 戻る
映画館は、確か、渋谷文化の1Fだった。混んではいない。どちらかと言えば、空(ス)いている。明るい所から、急に、もうすでに始まっているその空間に足を踏み入れれば、お先真っ暗、目の前暗転である。手探りで、後ろの方に、座る。初めて、一人で映画館に入った心細さを少しでも和らげるには、その背後を気にしなくとも済む後ろの方の席が、何よりなのであった。人がいっぱい後ろにいると、ウンコをしているのを皆に見られているようで、落ち着かない。
その席に慣れてくると、館内の冷気が気になってくる。ヒンヤリしている。冷房が効いている。予備校サボって、こんなことしててイイんだろーか?嗚呼(アア)、この映像のシビアさ、今の私の心境を絵に描いたみたいではないか!う~ん、何だかわからぬ吐息が漏れている。段々、闇に眼も慣れ、周囲の気配のトーンにも気が付き、徐(オモムロ)にゆっくり見回すと…
何なんだ。皆、すっかり、春爛漫の花の色狂い。何で発情?ほの暗い館内は至る所でカップルがいちゃつき、視界に入る、ほぼすべての人類、ホモサピエンスは性的興奮、エキサイト状態だった、と高橋さんは回想する。そして、言う。「時計仕掛けのオレンジ」の詳細は覚えていない。ただ、ナナメ前の席のノースリーブの小麦色の女の子が、あ~んとか言って、男の子の口の中にポップコーンを一つずつ入れていた。私は、その「あ~ん」の事ばかりがやたら、しっかり記憶に残っていて、「時計仕掛けのオレンジ」と言えば、実に、この「あ~ん」だけなのである。