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sleepy eyes evening。(日経新聞の記事より)
ドイツの水素へのエネルギー転換政策が停まらない。主力企業であるシーメンスが2024年までに水素鉄道に参入すると表明して10カ月,ドイツ鉄道と共同で燃料電池を搭載した車両の開発も始まり,補給インフラの拠点の整備も含め,これから3年で試験運転に漕ぎ着けようという野心的な試みだ。鉄道は自動車に比べれば,二酸化炭素CO2の排出量は少ないが,公共交通機関である鉄道の脱炭素化は避けて通れない。発電時にCO2や化石燃料を使うディーゼル車の削減が課題だった。
水素を燃料とする次世代車両は,カナダのボンバルディアの事業を買収したフランスのアルストム,世界最大手の中国中車でも開発が進んでいる。今回のシーメンスの参入で世界の鉄道車両大手3社の戦略は足並みが揃(ソロ)う。水素鉄道車両は水素タンクと燃料電池を搭載する。燃料電池で水素と酸素を化学反応させ発電し動力とする。架線から電気を供給する必要は無く,走行時には水しか発生しないため,CO2排出量はゼロとなる。
ドイツ鉄道は,水素を充填(ジュウテン)する設備を南西部のバーデン・ビュルテンベルク州の駅に建設する計画で,州内のテュービンゲン,ブフォルツハイム区間で2024年にも走行実験を行うことにしている。ドイツ鉄道によると,シーメンスとの実験運行区間は,12万㎞でCO2排出量は減産年330tとされる。使う水素やルートにもよるが,2両編成の場合で航続距離は約600㎞の見通し。シーメンスとドイツ鉄道は,化石燃料を使うディーゼル車量からの脱却を目指す。ドイツでは,鉄道網の5割が動力に電気を使わず,ディーゼル車が走行している。ドイツ鉄道は,先ず段階的に既存のディーゼル車を,水素を使ったハイブリッド型に置き換える方針で,50年までに実質排出量ゼロ達成する意向である。シーメンスは,水素での駆動に必要なユニットなどを開発し,提供する。
シーメンスが協力を決めた背景には,政府が一丸となって脱炭素の政策に舵を切ったこともある。政府は20年に国家水素戦略を策定し,アフターコロナ政策の一環として,復興予算の1兆円の復興予算に盛り込み,物流分野でも水素活用を推進する。シーメンスは,当初,ディーゼル車の代替車両として電池車両を想定していたが,排出ゼロの水素車両の開発計画にも手を付けており,政府の後押しに直ちに応諾できる素地があった。
鉄道は自動車や航空機に比べ,CO2の排出量は少ない。もっとも排出量が多いのは,自動車で全体の7割を占める。交通インフラの基幹産業として,鉄道事業は大量輸送機関であり,広報としての影響力が大きい。そうした意味でも政府の取った態度は妥当なものといえる。
何処かの国で実験が続くリニアモーターカー神話。予算とエネルギーの消耗と脱炭素化に逆行するプロジェクトと分かっているのに,今更やめるわけにはいかない。神代の国だものね。