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「天気の子」は、気候変動と、瞑目(迷黙)社会と、新世代による再生の活力を、描いた新海誠(1973.2.9.)氏の快作である。あの「君の名は」の夢想から5年、新海氏は、新作をすべて、本音のスタンスで作り上げた。その作品は、彼らの世代が意識する“セカイ系”であると同時に、“独立系”とも呼べる、まさしく“新海ワールド”であって、未来世代というより、現役30~40代世代へのサポーティング・メッセージとなっている。
新海氏は、混沌と転落というスパイラルの渦に翻弄されながらも、必死で生きていこうとする人々を描いてきた、これまでの映画とは別の視点を提示する。即ち、混沌の日常の中で、精いっぱい生を生き抜く、あるいは、自然に生きていく若い世代や子供の姿である。それは、ある意味、日常の肯定であり、現状の赦しなのだ。そこからの出発、というものですらない、ありのままの現存在で良い、という新海氏の達観したヒューマニズムがそこにはある。良い映画である。
因みに、そのサイキックなミステリアル・ワールドを彩るトーキョーの地名にも注目すると、もっと面白いかも。