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近頃の世相は嫌である。何か、と言えば、取り合い、奪い合い、足元を見ては、ののしり合う光景ばかりである。金銭のやり取りは、今に始まったことでは無いにしても、その浅ましさ、節操の無さに目を覆う他ない。早く、過ぎてほしいとしか、言いようがない。
眼を覆うばかりの沈黙。如何にも、言うべき言葉もない。もう、ボクは、自らの言葉を閉ざす。嫌である。あれこれと、言葉にすること自体、虚しいではないか。自殺か、自滅か、それは知らないが、要するに、価値がない。価値とは、それだけで、烏滸(オコ)がましいが、今、眼前の世界を言い表す言葉が、無い。即ち、価値が、無い。醜悪なる人々の心に、値する価値は、無い。愛すべき、拠り所が、あるべき、だ。そこに、安らげる、愛さるべき拠り所が、無くてはならぬ。価値は、あるべき、だ。沈黙の中に、価値は、まだ、有る、きっと。