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ボクたちは、もう涼しさに、気持ち、すっかり秋色に染まりつつある風の中を車に向かった。楽しかった。こんな心地で、二人で連れ添って歩くことは無いと、どこかで諦めていて、そのあり得ない情景に、今いることは、奇跡だった。しかし、これは何かの終わりかもしれなかった。それを、その時、考えることはNGであり、振り返ってはいけないのだった。ボクたちは互いを支え合う仲だった。それ以上に踏み出すことはどちらもできない。どちらも、今の立ち位置を変えることは出来なかった。それは年齢的なこともあったが、それだけではなく、距離を置いて生きることが二人にとって、独立を保つうえで大切なことだったのだ。それは一般常識とは相容れない、二人だけの絶対不可侵のルールだった。
国道を北に、ボクたちは走った。実のある話だった。ボクたちは滅多に会うことは無い。だから、会うことは重要だった。市内が近づいてくると、二人は、又、それぞれの現実に戻っていく。そして、又、会うことがあるのか、無いのか、それは分からない。それは会いたいと思うが、自分たちのそれぞれの人生が現実に交差することは無い。いつの間にか、いつものそこへ、車は着いた。お互いを想い続けることが二人には必要なのだ。そうして、それぞれの道に、ボクたちは戻った。