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渇きとは,何時の時代にもある渇望のことである。
奴隷貿易は,大西洋を舞台に16世紀から19世紀にかけて行われた人種的偏見の下,大々的に行われ非人道的犯罪行為である。奴隷貿易に関与した商人たちは,その略取は現地の王族との商取引だったと何ら恥じるところもなく,現代においてさえ,正当化する者がいることを考えると,人身売買に嫌悪感を持つ訳でもなく,歴史の闇の中に葬り去ることに腐心しているように見える。
所謂三角貿易と呼ばれるこの貿易は,イギリス,フランスを中心とするヨーロッパの白人が,主にアフリカ西海岸の先住民族である黒人を脅迫し,拉致・誘拐してアメリカの綿花栽培従事者の大規模プランテーションに無賃の労働力として売却し,綿製品の加工で潤う産業革命に湧くイギリスへその原料である綿花を輸送し,イギリスはナポレオン戦争で供給不足となったヨーロッパ大陸に綿製品を安価で提供する,という構図ができていた。アフリカの王族と呼ばれる人々は白人の齎す衣服や銃などと引き換えに,無抵抗の黒人部族民を白人の奴隷商人と取引きした,という。仮にそれが事実だとしても,人倫を無視したその取扱いは何ら正当化できないものであったことは,復元された当時の奴隷船の実態に即して考えれば明白である。
一方,ヨーロッパにおいては,幻視(原始)的な資本主義による農業従事者の工場への労働者の囲い込みが進み,産業革命の進展と共に,自由を奪われた賃金労働者が都市にあふれ,劣悪な住環境での生活を余儀なくされていた。それまでの道徳の規範であったキリスト教は,利益の追求のみに執着する資本家を無視できず,清廉・実直・勤勉を説くばかりで労働価値に見合った報酬を要求する労働者の救済という現実的対応は御座なりとなっていった。画して,社会的公正を主張する各種の労働運動は,資本家が拠り所とする守旧勢力である王侯貴族や財産を持つ教会からも弾圧され,激しい階級闘争の中で革命幻想に期待するようになっていく。
折りしも,マルクスは,共産主義なる労働再生産の平等配分という,制度無き奴隷制を拒否する画期的主張を掲げ,歴史に登場する。多数支配の原則を逆手にとって,普通選挙の実現を主張するマルクスではあったが,その前提となる階級闘争について多くを語ることは無かった。万人平等の社会を謳い上げるマルクスの理想は20世紀に歪(イビツ)な社会主義国家という変形した国民国家群の残骸を残して去った。後に残された中国とロシアの為政者たちの末路も推して知るべし。